つぐのひ・邪神ころねと右手・左手の視覚印象の話

みなさ〜ん,ホロライブ,見てますか?

 

地獄に落ちろ!!!!*1

 

ホロライブといえば.最近の流行の配信は「邪神ころね」ですね.

邪神ころねは,ホロライブでもお馴染みのホラーゲーム「つぐのひ」シリーズと,ホロライブ所属のバーチャルアイドル「戌神ころね」がコラボした作品になります.

つぐのひシリーズはアドベンジャーゲームを基調としたゲームなのですが,最大の特徴は主人公(プレイヤーキャラ)は画面左側に向かって進むのみでストーリーが進行していくことです.

右から左へと進むだけでストーリーが進む,という点では小説を彷彿とさせ,ノベルゲーム的な要素を持つとも言えるかと思います.

 

(ここからネタバレ)

さて,表題の邪神ころねではシリーズお決まりの要素を覆す演出があります.それは通常END終盤の医者から逃げるシーン,ここではプレーヤーキャラが左から右へと移動するのです.これにはシリーズを多数プレイしている同じホロライブのときのそらさんも驚きの感想を述べています.

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「右に行くの珍しい」「なんか変な感じするね右だと」*2

 

ここでは逃走を表現するために,普段とは逆の”左から右への移動”が効果的に使われているわけですが,そこで逆に普段の移動,すなわち右から左への移動に着目してみましょう.

 

特に演劇のような舞台作品に顕著ですが,上手(かみて)・下手(しもて)という概念があります.客席側から見て舞台右手側が上手,左手側が下手になります.これは舞台側と客席側で左右が逆になる混乱を防ぐための名称であり,また舞台上における地位の差も表します.

能楽における橋懸や歌舞伎における花道は下手側に存在しますし,落語において上位の人物は下手側を向いて喋り,下位の人物は上手側を向いて喋ります.校長先生は上手から登壇しますし,タモリさんは右側に座ります.すなわち力を持った強大な存在は上手側に存在し,それと対峙する存在は下手から上手を向くわけです.

アニメにおいても,ガンダムシリーズで有名な富野由悠季監督がそのような効果を特に意識して盛り込んでいることで有名です.

 

さて,これになぞらえて考えると右から左へというつぐのひの移動は,ゲームにおいて一般的な,強大な敵に立ち向かう下手から上手への移動とは逆で,敗北するものや追われているものを指し示す上手から下手への移動になっており,ゲームシステムそのものが怪異からの逃避,現世から隠世への移行を指し示すような構成になっていると思いませんか?

 

そのような視覚印象の効果もあって,その逆である邪神ころねの逃走シーンおよびその結末がより印象的なものになったとも言えましょう.

さておき,これをもう一方の逮捕ENDに当てはめて考えてみると,パトカーが上手側へと走り去っていきましたから,ころさんの未来にも明るいものを感じさせる結末とも言えましょう.きっと更生して戻ってきてくれるはずです.

…あるいは強大な敵(警察)と対峙し撃破することの暗示かもしれませんが.*3

*1:オモコロチャンネル

*2:2021.11.15配信, 【邪神ころね】ころねちゃんが・・・まさかの!?【#ときのそら生放送】より引用.そらちゃんかわいい

*3:邪神ではないころさんの元気な姿も再び見ることができるよう心から祈っております.