やがて君になる8巻を読みました

読みました………。別にここで論評だとか批評をする気もその能力も私には無くて、ただこの素晴らしき作品を祝してなにか自分の言葉で残しておきたかった、ただそれだけの極めて私的な私信です。多分ネタバレ注意です。

 

やがて君になる”というともはや百合作品を語るにあたって無くてはならない、この時代の金字塔的な作品となったことは多くの人の認めるところでありましょうが、その完結巻となるこの8巻、私は何回、一旦本を閉じて感嘆のうめきをあげたでしょうか。ありがとう…ただありがとう……。

 

終結にあたって侑と燈子の仲だけではなくて、物語そのものを収束させる訳ですがその美しいこと。こよみちゃんは夢を叶え、朱里ちゃんと堂島くんはなんだかいい感じで、エコーには二階席ができ、佐伯先輩には彼女ができ(ここもう三分ぐらい悶えちゃった、先輩どうかお幸せに……)、燈子先輩は劇の道に進み、侑は伸ばした手で星を掴んだ訳です。*1やっぱり劇の終幕はハッピーエンドじゃないとね。

 

告白シーン、「この人を変えたいって」は示唆的です。変わりゆくあなたと変わらない私、好きとは利己的な気持ちの押し付け合いであるという答えの象徴であるようにも思います。燈子の変化を望んだ侑が自身の変化から燈子を遠ざけるようになってしまったのは、侑がなんとなく自身に対して外からの視点を持っているからで、その侑が自分の特別を自分で選ぶ決心をした訳で、「君の中に咲く」のは燈子だったのかもしれません。

 

中盤の甘々な部分についてはもう語るのも野暮でしょう。ただ、とにかく、末永い幸せを祈るばかりです。そんな祈りもいまさら必要ないのかも。

 

 

多大なる感謝と敬意を込めて。

 

 

 

 

ところで50ページの沙弥香先輩の満足した表情ほんと良くないですか?ほんと良かったねというか、いや良くはないんですけど、何というか、彼女さんとお幸せに………!*2

*1:1巻1話のタイトルは「わたしは星に届かない」です。

*2:この話とはあんまり関係ないですけど、船のシーンで思い出されるのが7巻の返事のシーンで、お返事が舟を降りた後なのはこれを意図してのことなんでしょうか。だとしたら凄いし辛い。とはいえ佐伯沙弥香さんは舟を導く灯火だったのは間違いなくて、それで報われる所はあるのかなぁとか考えてしまいます。ところで燈子さんの燈の字の意味って「ともしび」の意なんですよね。